印鑑の知識


本人であることを証明し、権利と財産を守るという、大きな使命


印鑑の役割


 私たちが社会生活を営んでいく上で、印鑑というものが、多方面にわたって大きな役割を果たしているかは、日常生活を考えればよくわかることです。

 人生のはじまりの誕生、いや、すでに母親の胎内に生命として宿ったときから、そのために必要な母子手帳の交付、出生、入学、就職、結婚、そうしてついには死亡すれば埋葬許可書など。

郵便やさんが玄関で呼んでいます。「書留です」するとあなたは「ハイ」と言ってハンコともなんとも言われなくても、すぐ立ってハンコを取りにいきますよね。

デパートから品物が届いたとき、回覧板を見たとき、当然のようにハンコを押します。そのように、日常の家庭生活でも、一日たりともハンコのない生活は考えられず、それがあなたの一生につきまとうものなのです。

 ものいわぬ一個の印材も、自分の名前が彫刻された瞬間から「ものを言う」自分と同じ生命体に変化するわけです。まさにハンコも生き物です。

 そのように重要性をもつ印鑑でありながら、日常生活の中にとけこみ過ぎているため、ともすれば、案外無意識に取扱上の慎重さを欠いていることが多いもので、まことに危険なことです。どんな運命のいたずらが、あなたの運の吉凶を左右するかもしれないのです。

 権利や財産を守るべき印鑑は、自分の相(かお)、像(すがた)をあらわすいのちの象徴でもあります。

印鑑の種類

実印市区町村に登録し、印鑑証明または印鑑登録証明の交付が受けられる印。
銀行印銀行、郵便局などの預金口座に届けてある印。
役職印法人、団体などの役職または公的な資格を表した印。公印の場合は角印が多い。
角印官公署、法人、団体などの名称の印、またはその役職名の印、その他一般の領収印、蔵書印などに用いられます。
割印書類の関連を証明するため、一つの印を二枚の文書にまたがらせて押す契印。
認印認めたしるしに押す印。
訂正印簿記に用いられる小さい認印。
蔵書印図書の所有者を示すために押す印。蔵、蔵書、書庫、書屋、文庫などの語を加えることが多いようです。
允許の印弟子の学問または技術を証明して許可する文書に用いる印。
雅印風流な趣を表した印。
落款印書画の自作を表した印。主に石印材に篆刻されます。
引首印書幅、扁額などの右肩に押す印。主に石印材に篆刻されます。

印鑑登録ができる条件


1.印鑑登録は、住民基本台帳に登録されている市区町村に申請します。

                 
2.登録申請は直接本人が印章を持参します。


3.登録印章の規格は、直径10mm~25mmくらいが適当です。

印鑑の素材

象牙

程よい硬さがあり、彫刻にも捺印にも最適な印材とされます。気品のある色つや、きめ細やかな肌合いは観賞上も美しいものです。
マンモス

30000年以前のマンモスの牙印材です。象牙より価格も安く、愛知万博での影響もあり今、話題の人気商品です(産地証明書付です)
オランダ水牛

豪州産の角(つの)材。原材が小さく、純白と呼ばれる極上品は高価なものです。硬さ、弾力ともに印材に適しております。
黒水牛

水牛の角(つの)材。硬さ、弾力とも印材に適しており、芯の通ったものはひび割れが少ないので珍重されます。
黄楊(つげ)

木質材の中では最も彫刻に適していますが、象牙、水牛などに較べて軟らかく細字の印には不向きです。
貴石

水晶、メノー、ヒスイ、虎眼石などがあり、硬度も高く観賞上も優れていますが、繊維質がないため欠け易いのが難点です。
石印材

おもに書画の落款印として篆刻されます。観賞上には中国の寿山石が有名ですが、今では名品の算出は少ないといわれます。
琥珀

針葉樹の樹脂が何千万年もの時代を経て、神秘の化石「琥珀」となります。その美しい輝きと色合いゆえに「太陽の石」「人魚の涙」など「美しい地球の美しい遺産・・・」と呼ばれ、古来よりずっと愛され続けてきました。超自然の作り出す美しい模様の「琥珀」は象牙に並ぶ高級印材です。
チタン

印鑑という伝統の世界に先進のマテリアルを導入したチタニカ。
磨耗、ひび割れがなく、朱肉のつき、なじみも良く、半永久的に美しい印影を保ちます。もちろんサビもありません。

カーボン

カーボンはダイヤモンドを構成する素材でもあるため、非常に軽いのに硬くて丈夫。鉄の4分の1の軽さでありながら強度は10倍と、まさに長くお使いになる印章に最適。さらに耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、伝導性に優れた、金属に変わる素材。